生活保護で受給出来る金額。計算方法や受給する時の条件を解説

お金がないという方の中には、生活保護を受給せざるを得ないといった方もいます。

ですが、どのくらいの金額まで振り込んでもらえるのかわからないといった方も多いです。

そこで今回は、生活保護でどのくらい受給できるのか知りたい方に向けて、生活保護で受給できる金額や計算方法などについて解説していきます。

この記事を読むことで以下の3つがわかります。

  • 生活保護の受給額の計算方法
  • 生活保護の需給条件
  • 生活保護受給時の注意点

生活保護でもらえる金額は最低生活費まで

生活保護制度

生活保護でもらえる金額は最低生活費までと決まっています。

消費者金融審査甘いランキングなどで借りる事も出来ません。

最低生活費は特定の金額が指定されているわけではなく、決められた計算方法に従って計算して金額が確定します。

ただ、すでに幾分か収入があるのであれば、最低生活費から収入を差し引いた金額が受給される金額となります。

生活保護でしてはいけない事としてもいい事

そして、最低生活費を算出する上で8つの扶助がかなり重要です。

生活保護の8つの扶助の内訳については以下の通りです。

生活保護の種類内容
生活扶助日常生活を送る上で必要な費用
住宅扶助住居に住むための家賃
教育扶助子供が義務教育を受けるのに必要な費用
医療扶助生活に困窮している人が医療サービスを受けるための費用
介護扶助生活に困窮している人が介護サービスを受けるための費用
出産扶助出産にかかる入院費や衛生用品の費用
生業扶助就職に必要な技能の習得にかかる費用
葬祭扶助遺族が生活に困窮していて、かつ他に補助してくれる人がいない場合の葬式費用

上記の扶助を合計すると生活保護費になります。

この中でも特に生活扶助が生活保護のメインとなっており、生活保護費の30%程度が生活扶助となっています。

生活扶助に該当するものとして、食費や水道光熱費、洋服代などがあげられます。

これらの費用だけで毎月数万円ほどかかってしまうのは容易に想像できますよね。

実際、東京都に住む30代男性の生活扶助額は7万円程度と言われています。

生活扶助とは別に住宅扶助までかかると考えると、少なくとも13万円ほどはかかってしまいます。

自分の最低生活費を計算する方法

自分がいくら生活保護がもらえるのかについては、「最低生活費ー収入」で計算することが可能です。

そして、最低生活費を計算する上で以下の項目が重要になってきます。

  • 住んでいる地域の級地区分
  • 級地区分と年齢・世帯人数
  • 住んでいる地域での扶助
  • その他加算内容

1つずつみていきます。

住んでいる地域の級地区分をチェックする

まずは自分の住んでいる地域の級地区分をチェックしてください。

大前提として最低生活費は住んでいる地域によって変わってきます。

それは地域によって物価や生活水準の高さが変わってくるためです。

地域ごとに合った水準の生活費がないと、最低限の生活をしていくことは難しいです。

そのため、自分の住んでいる地域の級地区分を把握しておいてください。

地域ごとの級地区分については以下の表の通りです。

級地区分都道府県・市町村名
1級地-1

・埼玉県:川口市、さいたま市
・東京都:23区、八王子市、立川市、武蔵野市、三鷹市、府中市、昭島市、調布市、町田市、小金井市、小平市、日野市、東村山市、国分寺市、国立市、福生市、狛江市、東大和市、清瀬市、東久留米市、多摩市、稲城市、西東京市
・神奈川県:横浜市、川崎市、鎌倉市、藤沢市、逗子市、大和市、三浦郡葉山町
・愛知県:名古屋市
・京都府:京都市
・大阪府:大阪市、堺市、豊中市、池田市、吹田市、高槻市、守口市、枚方市、茨木市、八尾市、寝屋川市、松原市、大東市、箕面市、門真市、摂津市、東大阪市
・兵庫県:神戸市、尼崎市、西宮市、芦屋市、伊丹市、宝塚市、川西市

1級地-2・北海道:札幌市、江別市
・宮城県:仙台市
・埼玉県:所沢市、戸田市、朝霞市、和光市、新座市
・千葉県:千葉市、市川市、舟橋市、松戸市、習志野市、浦安市
・東京都:青梅市、武蔵村山市
・神奈川県:横須賀市、平塚市、小田原市、茅ヶ崎市、相模原市、三浦市、秦野市、厚木市、座間市
・滋賀県:大津市
・京都府:宇治市、向日市、長岡京市
・大阪府:岸和田市、泉大津市、貝塚市、和泉市、高石市、藤井寺市、四條畷市、交野市、泉北郡忠岡町
・兵庫県:姫路市、明石市
・岡山県:岡山市、倉敷市
・広島県:広島市、呉市、福山市、安芸郡府中町
・福岡県:北九州市、福岡市
2級地-1・北海道:函館市、小樽市、旭川市、釧路市、帯広市
・青森県:青森市
・岩手県:盛岡市
・秋田県:秋田市
・山形県:山形市
・福島県:福島市
・茨城県:木戸市
・栃木県:宇都宮市
・群馬県:前橋市
・埼玉県:川越市、春日部市、入間市、富士見市
・千葉県:柏市、八千代市、野田市
・東京都:羽村市、あきる野市
・神奈川県:伊勢原市、海老名市、綾瀬市
・新潟県:新潟市
・富山県:富山市
・石川県:金沢市
・福井県:福井市
・山梨県:甲府市
・長野県:長野市
・岐阜県:岐阜市
・静岡県:静岡市、沼津市、浜松市
・愛知県:豊橋市、豊田市、岡崎市
・三重県:津市
・滋賀県:草津市
・京都:八幡市
・大阪府:泉佐野市、柏原市
・奈良県:奈良市
・和歌山県:和歌山市
・鳥取県:鳥取市
・島根県:松江市
・山口県:下関市、山口市
・徳島県:徳島市
・香川県:高松市
・愛媛県:松山市
・高知県:高知市
・福岡県:久留米市
・佐賀県:佐賀市
・長崎県:長崎市
・熊本県:熊本市
・大分県:大分市、別府市
・宮崎県:宮崎市
・鹿児島県:鹿児島市
・沖縄県:那覇市
など
2級地-2・北海道:夕張市
・宮城県:名取市
・茨城県:日立市
・栃木県:足利市
・新潟県:長岡市
・石川県:小松市
・長野県:上田市
・岐阜県:大垣市
・静岡県:富士市
・愛知県:安城市、岩倉市
・三重県:松阪市
・兵庫県:加古川市
・岡山県:玉野市
・広島県:三原市、府中市
・山口県:防府市、岩国市
・福岡県:飯塚市、古賀市、田川市
・長崎県:佐世保市
・熊本県:荒尾市
など

上記以外の市区町村は「3級地-1」、「3級-2」あるいはそれ以外に該当します。

自分の住んでいる地域がどの級地区分に該当するのか上記の表を参考に確認してみてください。

級地区分と年齢・世帯人数を照らし合わせる

級地区分だけでなく、年齢や世帯人数によっても生活扶助の基準が変わってきます。

まず年齢別の生活扶助の基準について以下の表にまとめました。

年齢1級地‐11級地‐22級地‐12級地‐23級地‐13級地‐2
0~2歳21,820円20,830円19,850円18,860円17,890円16,910円
3~5歳27,490円26,260円25,030円23,780円22,560円21,310円
6~11歳35,550円33,950円32,350円30,750円29,160円27,550円
12~17歳43,910円41,940円39,960円37,990円36,010円34,030円
18~19歳43,910円41,940円39,960円37,990円36,010円34,030円
20~40歳42,020円40,140円38,240円36,350円34,460円32,570円
41~59歳39,840円38,050円36,250円34,470円32,680円30,880円
60~64歳37,670円35,980円34,280円32,590円30,890円29,200円
65~69歳37,670円35,980円34,280円32,590円30,890円29,200円
70~74歳33,750円32,470円30,710円29,530円27,680円26,620円
75歳~33,750円32,470円30,710円29,530円27,680円26,620円

上記の金額が基準となり、世帯人数によって金額が一定の割合で逓減されます。

世帯人数ごとの逓減率は以下の表の通りです。

人数1級地‐11級地‐22級地‐12級地‐23級地‐13級地‐2
1人1.0001.0001.0001.0001.0001.000
2人1.0001.0001.0001.0001.0001.000
3人1.0001.0001.0001.0001.0001.000
4人0.9500.9500.9500.9500.9500.950
5人0.9000.9000.9000.9000.9000.900

ここまでで計算したのが生活扶助基準第1類に該当します。

これとは別に生活扶助基準第2類も計算する必要があります。

生活扶助基準第2類の基準は以下の表の通りです。

人数1級地‐11級地‐22級地‐12級地‐23級地‐13級地‐2
1人45,320円43,280円41,240円39,210円37,160円35,130円
2人50,160円47,910円45,640円43,390円41,130円38,870円
3人55,610円53,110円50,600円48,110円45,600円43,100円
4人57,560円54,970円52,390円49,780円47,200円44,610円
5人58,010円55,430円52,800円50,210円47,570円44,990円

生活扶助基準第1類の基準と生活扶助基準第2類の基準を足して、0.855で足せば生活扶助分の金額が算出されます。

ただ、実際の計算で使うのはここで算出された計算結果ともう1つの基準で算出された計算結果のいずれか高い方を使うことになります。

もう1つの生活扶助基準第1類の基準について以下の表にまとめました。

年齢1級地‐11級地‐22級地‐12級地‐23級地‐13級地‐2
0~2歳44,630円43,330円41,190円41,190円38,340円36,940円
3~5歳44,630円43,330円41,190円41,190円38,340円36,940円
6~11歳45,640円44,320円42,140円42,140円39,220円37,780円
12~17歳47,750円46,350円44,070円44,070円41,030円39,520円
18~19歳47,420円46,030円43,770円43,770円40,740円39,250円
20~40歳47,420円46,030円43,770円43,770円40,740円39,250円
41~59歳47,420円46,030円43,770円43,770円40,740円39,250円
60~64歳47,420円46,030円43,770円43,770円40,740円39,250円
65~69歳45,330円44,000円41,840円41,840円38,950円37,510円
70~74歳45,330円44,000円41,840円41,840円38,950円37,510円
75歳~40,920円39,730円37,780円37,780円35,160円33,870円
人数1級地‐11級地‐22級地‐12級地‐23級地‐13級地‐2
1人1.0001.0001.0001.0001.0001.000
2人0,85480,85480,85480,85480,85480,8548
3人0.71510.71510.71510.71510.71510.7151
4人0.60100.60100.60100.60100.60100.6010
5人0.56830.56830.56830.56830.56830.5683

そして、生活扶助基準第2類の基準は以下の表の通りです。

人数1級地‐11級地‐22級地‐12級地‐23級地‐13級地‐2
1人28,890円27,690円27,690円27,690円27,690円27,690円
2人42,420円40,660円40,660円40,660円40,660円40,660円
3人47,060円45,110円45,110円45,110円45,110円45,110円
4人49,080円47,040円47,040円47,040円47,040円47,040円
5人49,110円47,070円47,070円47,070円47,070円47,070円

1つ目の計算の流れ同様に、生活扶助基準第1類と生活扶助基準第2類を足せば計算できます。

ただ、1つ目の計算とは違って0.855をかける必要はありません。

そのままの数値で1つ目の計算結果と比較してください。

住んでいる地域での住宅扶助基準の加算

生活扶助基準の計算ができたら、そこに住んでいる地域での住宅扶助基準の金額を加算していきます。

住宅扶助基準は1級地だと53,700円、2級地だと45,000円、3級地だと40,900円となります。

これに関してはたいていの方が加算することになる項目であるため、加算することを忘れないようにしましょう。

ちなみに、上記の金額の基準はあくまでも東京都の場合であるため、住んでいる都道府県ごとに住宅扶助基準がどうなっているのか確認してみてください。

その他加算内容に該当するかチェックする

生活扶助基準と住宅扶助基準以外にも該当する項目があれば加算する必要があります。

加算項目として以下のものがあげられます。

  • 身体障害者(1・2級の該当者 1級地 26,810円、2級地 24,940円、3級地 23,060円、3級該当者 1級地17,870円、2級地16,620円、3級地15,380円)
  • 母子世帯(児童1人 1級地 18,800円、2級地 17,400円、3級地 16,100円、児童2人 1級地 23,600円、2級地 21,800円、3級地 20,200円、3人以上の児童1人につき加算される額 1級地 2,900円、2級地 2,700円、3級地 2,500円)
  • 児童養育(児童を養育する場合:10,190円/人)
  • 教育扶助基準、高等学校等就学費(小学生 2,600円、中学生 5,100円、高校生 5,300円)
  • 介護扶助基準(居住介護等にかかった介護費の平均月額)
  • 診療扶助基準(診療等にかかった医療費の平均月額)
  • 最低生活認定額
  • 出産、葬祭などの経費の一定額

これらの項目で該当するものがあれば別途加算してください。

ちなみに、身体障害者と母子世帯の加算は併用できません。

その点を押さえた上で最終的な最低生活費を算出しましょう。

生活保護の受給条件は収入が最低生活費より下回っていること

生活保護の受給条件は収入が最低生活費より下回っていることの画像
最低生活費の計算方法について解説していきましたが、そもそも生活保護を受給するのにも一定の条件があります。

その条件を満たしておかないと生活保護は受けられない点に注意が必要です。

まず大前提として、先ほど説明したように収入が最低生活費より下回っていないと生活保護が受給できません。

そのことを念頭に置いて、生活保護の需給条件についてみていきましょう。

病気や障害などによって働けなくなってしまった方も受給可能

生活保護は病気や障害などによって働けなくなってしまった方も受給可能です。

生活保護は単に仕事の変化によって収入がなくなった場合しか受けられないものではありません。

怪我などによって収入が途絶えてしまうこともあり、そこから社会復帰するのは容易ではありません。

ですが、生活保護はそういった場合にも対応してくれるため、働けなくなってしまったからといって社会復帰を諦める必要はないです。

きちんと事情を説明して遠慮することなく生活保護でサポートしてもらってください。

公的年金と併用して受給可能

生活保護は公的年金と併用して受給することも可能です。

生活保護を受けている間は生活保護以外の金銭を受給しないのが望ましいのではないかと考える方もいます。

なぜなら、国が定める最低生活費に満たない年金生活者も保護対象になっているためです。

たとえば、最低生活費が14万円だとして年金を4万円受け取っているなら、10万円は生活保護で受給できます。

年金を4万円受給しているなら生活保護がそもそも受けられないといったことはないので安心してください。

逆に言えば、最低生活費の収入の中に年金も含まれてしまいます。

そのため、最低生活費14万円が別途でもらえるわけではないことを押えておきましょう。

土地や貴金属などの資産を売却しないと生活保護が受けられない

生活保護は土地や貴金属などの資産を売却しないと受けられない点に注意が必要です。

生活保護には「資産を活用すること」という項目があり、土地や貴金属などの資産価値の高いものを保有していると、強制的に売却させられることがあります。

少なくとも別荘や高価な時計などは売却しないと生活保護が受けられません。

ただ、生活の自立に向けた生活保護なのにその妨げになっている可能性があるとの指摘もあり、マイホームについては保有が認められるケースも増えてきています。

生活保護を受けると必ずしもマイホームまで売却が命じられるわけではないことを把握しておいたほうがよいです。

ちなみに、「処分価値が利用価値に対して著しく大きい」と判断された資産については売却が命じられます。

具体的には「最上位級地の標準3人世帯の生活扶助基準額に同住宅扶助特別基準額を加えた額の概ね10年分」と構成労働省が基準を設けており、マイホームだと東京なら2,000万円程度なら指導が入る可能性が高いとしています。

特に土地は住んでいる地域によって資産価値が大きく変わるため、念のため自分の住んでいる地域でマイホームがどのくらいの資産価値になるのか調べておいたほうがよいです。

年金や国の融資が受けられない方でも受給可能

生活保護は年金や国の融資が受けられない方でも受給可能です。

借金などを抱えていてブラックリストに載ってしまったとしても、生活保護の申請に大した影響はありません。

年金などが受けられないと生活保護の申請ができないという噂がインターネット上で流れていますが、実際は「生活保護受給期間中は借金を理由とした差し押さえができない」となっています。

もっとわかりやすく説明すると、生活保護費は生活保護法第58条の規定により、「差し押さえ禁止債権」に指定されています。

そもそも負債が理由となって生活保護費が差し押さえられるものではないため、年金や国の融資が受けられない方でも受給可能です。

また、中には生活保護を受けるならその前に自己破産処理を済ませておく必要があると勘違いしている方も多いです。

そういった決まりはなく、自己破産に陥ってしまう前に生活保護を受けることもできます。

実際、自己破産は法的な手続きであって勝手になってしまうものではないです。

場合によっては自己破産を行う前に手元にお金がなくて食べ物が買えないということも起こり得ます。

生活保護の申請はそういった状況になる前に申請しておきましょう。

生活保護の申請は福祉事務所で対応してくれる

生活保護の申請については以下の手順に沿って進めれば、福祉事務所で対応してもらえます。

  • 福祉事務所で生活保護を受けたいと伝える
  • 家庭訪問を受ける
  • 扶養調査・金融機関への調査が行われる
  • 審査結果の通知が届く

1つずつみていきます。

福祉事務所で生活保護を受けたいと伝える

生活保護が受けられるのは福祉事務所です。

そのため、生活保護を受ける際には自宅の最寄りにある福祉事務所に立ち寄ってください。

福祉事務所は全国で1,200カ所以上あり、福祉事務所の一覧は厚生労働省のホームページにまとめてあります。

自宅近くの福祉事務所がどこにあるのか事前に調べておきましょう。

ちなみに、住居がなくて車内やネットカフェで生活している方の場合、申し込み時点で滞在している地域の福祉事務所で申請すれば問題ありません。

事前に住居がないことを伝えた上で申請を進めてください。

生活保護を受けたいことを伝えると、窓口の担当者から収入状況や就労の有無などの確認が行われます。

その結果、生活保護が必要だと判断されたら申請書が渡されるため、必要事項を入力して提出してください。

家庭訪問を受ける

生活保護の申請書を提出したら、1週間以内に自宅にケースワーカーが家庭訪問をしに来ます。

書類上だけで生活状況をまとめていたとしても、事実と異なることを記載している可能性もあります。

虚偽の申告がないか確認を行うためにも家庭調査が行われ、売却可能な資産を隠し持っていないか確認されます。

自分が持っている口座の通帳・収入証明書などの提出を求められることもあるため、あらかじめ提出しやすい場所に保管しておいてください。

扶養調査・金融機関への調査が行われる

ケースワーカーからの家庭訪問以外にも、扶養調査や金融機関への調査も行われます。

家庭を訪問して売却可能なものがないことがわかったとしても、申込者の家族が申込者の生活をサポートするだけの資金を持っていると判断されれば、生活保護は受けられません。

そのため、福祉事務所は住民票や戸籍謄本を役所から取り寄せ、そこで血縁関係にある方に対して扶養調査を行います。

また、金融機関で残高照会を行うことが認められているため、隠し持っているお金がないか確認されます。

扶養調査・金融機関への調査は家庭訪問と同時進行で行われ、遅くても申請から10日以内には調査が完了します。

審査結果の通知が届く

家庭訪問と扶養調査・金融機関調査の両方が完了し、それらを総合的に判断して生活保護が受けられるかどうか決まります。

生活保護の審査結果は、自宅に郵送で通知書が送られます。

通知書には合否以外にも生活保護の内訳や記載されている結果となった理由が記載されています。

よく確認した上で次の動きに移ってください。

もし審査に通過したら直近の支給日から保護費の支給が開始されます。

地域ごとに支給日が決められており、保護決定通知書に記載されている金額が振り込まれます。

多くの自治体では月初に振り込まれますが、中には月末に振り込まれるところもあるのでよく確認しておきましょう。

ここまでで長くて14日かかります。

ただ、資産状況が正確に把握できない場合などは調査に時間がかかってしまい、振込までに30日まで伸びてしまうこともあります。

生活保護を申請する際には、1カ月近く余裕を持って申請するように心掛けてください。

生活保護受給時の注意点

生活保護を受給する際には、以下の点に注意してください。

  • 生活保護でもらったお金を生活費以外で使わないほうが望ましい
  • 収入状況の変化などはすべてワーカーに伝える
  • 生活保護を受けるとローンを組んだり、クレジットカードを作ったりできなくなる
  • リバースモーゲージが必要になることもある
  • マイカーは持てるものの条件がいくつかある

1つずつみていきます。

生活保護でもらったお金を生活費以外で使わないほうが望ましい

生活保護でもらったお金は生活費以外で使わないほうが望ましいです。

生活保護には具体的な使用用途が決められていません。

とはいえ、ギャンブルやブランド品などにお金を使っている様子が近隣の方に知られてしまうと、福祉事務所に通報されてしまうこともあります。

生活保護は最低限度の生活を送るためのもので、その用途で使われていないことが判明すると生活保護が止められてしまいます。

そのため、生活保護のお金の使い方には注意しましょう。

ちなみに、生活保護でもらったお金を緊急時に備えて一部貯めておくことは認められています。

常識の範囲内で生活保護でもらったお金を使うようにしてください。

収入状況の変化などはすべてワーカーに伝える

収入状況に変化があったら、すべてケースワーカーに伝えてください。

たとえば、10万円の収入があって生活保護で4万円ほど受給しているとします。

そこから収入が13万円まで増えたら、生活保護でもらえる金額は1万円に減額されます。

ですが、申告しないまま4万円を受け取り続けた場合、不正受給として返還請求が求められることもあります。

場合によっては生活保護の支給が止められることも珍しくありません。

不正受給を起こすことがないように、収入の変化は逐一ケースワーカーに伝えましょう。

収入の変化以外にも、家族の医療費や介護費がかかるようになったり、子どもの入学・卒業があったりして資金状況が変わることもあります。

その場合も念のために伝えておいたほうがよいです。

生活保護を受けるとローンを組んだり、クレジットカードを作ったりできなくなる

生活保護を受けるとローンを組んだり、クレジットカードが作ったりできなくなる点にも注意が必要です。

ローンを組むことそのものは可能なのですが、ローンを組んで得たお金は収入として扱われます。

ローンを組むのであれば生活保護を受ける必要はないと判断され、生活保護が止められることもあります。

また、クレジットカードも100%発行できなくなるわけではありませんが、支払い能力が極端に低いと判断されて審査で落ちてしまう可能性が高いです。

どうしてもクレジットカードを発行する必要がある理由がないと審査には通らないと考えておいたほうがよいです。

ちなみに、クレジットカードのキャッシングでお金を借りる場合もローン同様の扱いになります。

そのため、クレジットカードのキャッシングでも生活保護が止められるリスクがあることを把握しておきましょう。

リバースモーゲージが必要になることもある

住んでいる場所がマンション・アパートではなく持ち家だった場合、住宅ローンを完済しているなら売却する必要はありません。

ただ、自宅を担保に社会福祉協議会からお金を借りる「リバースモーゲージ」の利用を促されることもあります。

ここで借りたお金はすぐに返す必要はないため、お金がない状況を脱して生活基盤を整えていくこともできます。

ただ、死んでしまったら担保にしていた住宅を売却する形で返済することになります。

それでも問題ないなら、生活保護を利用する前にリバースモーゲージを利用するのがおすすめです。

しかし、生きている間も利息の返済だけは先に済ませる必要があることを押えておいてください。

マイカーは持てるものの条件がいくつかある?

マイカーはどうしても自動車税や車検代、ガソリン代などがかかってしまうため、負担が大きいことから、マイカーがあると生活保護が受けられなくなります。

また、公共交通機関を使用すればマイカーよりも安く移動ができることもあってマイカーでは認められないことが多いです。

ただ、通勤や通院、通学などにどうしても必要な場合はマイカーを持つことが認められています。

身体に障害があるとどうしてもマイカーでないと通うことができなかったり、地域によっては公共交通機関の環境が十分に整っていない可能性もあります。

他にも、半年以内に転職する目途が立っているのであればそこまで制限する必要がないと判断されることが多いです。

あとは、自営業で仕事にどうしても車が欠かせないとなってしまうと、マイカー所有が必須となっているケースも見られています。

いくつかマイカーが持てる例外を紹介しましたが、それに該当することでない限りはマイカーは持てないと考えておいたほうがよいです。

生活保護の金額に関するよくある質問

生活保護はやや複雑な仕組みになっており、さまざまな制約があります。

そのため、インターネット上では生活保護の金額に関する質問がいくつも投稿されています。

今回はその中でも特に質問されることの多かった以下の質問について回答していきます。

  • 外国籍の人でも生活保護を利用できる?
  • 家族や会社の人に知られることなく生活保護を利用できる?
  • 生活保護を受けている世帯はどのくらいある?
  • 生活保護を受けるのが申し訳なくなってしまう

1つずつみていきます。

外国籍の人でも生活保護を利用できる?

外国籍の方でも生活保護が受けられる場合があります。きちんと在留資格を獲得して日本に滞在している場合、外国人でも税金を払っていることになります。税金を払っているなら生活保護を受けるだけの十分な理由になるため、外国人でも生活保護を受けることは可能です。ただ、必ずしも生活保護を受けられるわけではなく、市区町村ごとで外国人でも生活保護が受けられるかどうか変わってきます。外国籍の方で生活保護を受ける場合は、対象の市区町村で生活保護が受けられるか事前に確認しておいたほうがよいです。

家族や会社の人に知られることなく生活保護を利用できる?

家族や会社の人に知られることなく生活保護を受けるのは難しいと考えられます。少なくとも会社の人に知られることはなくても家族に知られずに生活保護を受けるのはほぼ不可能です。生活保護は申し込み者だけでなく血縁関係にある方のサポートができる状況があるかどうかまで見られます。その情報まで無断で調べることはできないため、生活保護を申請するとたいてい家族にはバレてしまいます。

生活保護を受けている世帯はどのくらいある?

生活保護を受けている世帯は最新のデータによると、全国で1カ月あたり約18,000件の保護が開始されています。申請件数自体は21,000件程度毎月記録されているため、生活保護の通過率は概ね8割5分程度となっています。生活保護は審査に落ちてしまうと考えられがちですが、案外通過率は高くなっています。そのため、審査に通過しないのではないかと心配する必要はありません。生活保護が必要な状態になったら、遠慮なく生活保護の申請を進めましょう。

生活保護を受けるのが申し訳なくなってしまう

生活保護を申し訳なく感じる方もいますが、「健康で文化的な最低限度の生活」は当たり前に認められている権利です。その権利を保障するためのものであるため、あまり遠慮する必要はありません。特に貧困の問題は社会問題化しているため、決して一人だけの問題ではないです。そのため、生活保護の利用を恥じないで気軽に利用しましょう。